このところ政・官・商・医における既得権乱用による不正の発覚がメディアを賑わせています。つい先日も○×商事が10年間に渡って輸入鶏肉を国産と偽って販売していたとの報道がありました。これは以前から私が「情報の非対称性を悪用して不当に利益をあげる典型的ビジネスモデル」とやり玉に挙げていた業種です。この業界全てがそうだとは思いませんし、同じ会社の全ての部門がそうだとも思いません(儚い希望としてですが)。しかし、既得権を利用した情報の非対称性をフルに使って利益を最大化するというのは業界の常識となっているように思えます。確かに情報を開示してしまえば短期的には利益は薄くなるでしょうし、競争も激しくなるでしょう。しかし、従来のような悪徳商法を続けているとネット社会への移行が進み、テレワークが当たり前になってくると真っ先に淘汰されることになります。情報開示を前提としたテレワークによる輸入仲介業者が確立されてくると今までの不正が全て明るみに出てしまうのは誰でも予測できる事です。

一方、情報開示を率先して行なえば、仲介エージェントとしての自分達の価値を確立せざるを得なくなるわけで、自己昇華につながるはずです。またそれにより、社会全体のコストが下がり、逆にサービスの質は向上するはずです。「原価がばれるとまずい」とか「卸値は生産側の企業秘密だ」とかを平気で言っているのが今の日本の現状です。これらは、全て消費者を完全に無視し、情報を隠す事で自分達の利益を確定しようという戦略以外の何ものでもありません。もちろん「情報開示」は全ての情報を全ての人が見られるようにすると言うことではありません。「誰の利益を守るためにどの情報を隠すかという決断を誰が下すのか」という社会的ルールがないために、既得権者がその決断を下しているのが問題なのです。一部にはそのような社会的ルールを法律で定めるという動きもあるわけですが、全てを網羅し、また、強制させるのは不可能と言って良いでしょう。そのようなルールを守らせるにはテレワークの普及によってそれぞれのマーケットによる価値判断が行なえるようにするのが最も確実で低コストな方法だと考えられます。

テレワークによる市場でビジネスを行なうには情報開示による信用確立が前提となります。そこでウソをついたり、ズルをすれば、それこそ「悪事千里を走る」どころか、一夜にして市場中に知れ渡る事になりビジネスを継続する事は不可能になります。この原理は企業内においても同じ事です。企業自体がテレワーク化を進める場合も情報開示(例えば人事評価に関する情報)が前提条件になるわけです。社内の既得権者による情報隠しは、本来のビジネス目的とは別のパワー・ストラクチャ(日本語では権力構造ですかね?)を生み、その構造の維持や、争いに余計な労力を奪われているように見えます。社内での情報開示を徹底すれば、本当にビジネス的に価値のあるパワー・ストラクチャが育成されて行くはずです。

どの情報を、どこまで、いつ、誰に開示するのかは難しい問題に思えますが「その情報はだれのモノなのか」を問えば必然的に答えが出るのではないでしょうか。そして、オープンなテレワーク環境の社会においては、この問への答えを無視する組織や人は締め出されることになるはずです。例えば、今年の大学入試の問題を誰が作るのかとか、誰が採点するのかという情報は学内関係者のみが知っていれば良いことで、これらの情報は明らかに受験生や一般人のものではありません。従って、一般への開示は必要のない情報と言えます。しかし、試験の採点と内容についての情報は受験生に属するものですから、受験生に対して公開する必要があります。それを拒否するのは「カルテは担当医のもの」と言って患者本人へ開示するのを拒否する医者と同じくらい間違っています。鶏と卵の議論になってしまいそうですが、テレワークは情報開示を進める上でも有効なツールと言えるでしょう。