近年、育児・介護を理由とした正社員の在宅勤務制度や通勤困難者を対象とした在宅勤務による採用を行っている企業が出てきています。これは、テレワークが少子高齢化社会に有効であり、身障者の労働参加を可能にするという証明であり、社会的にも意義のあることです。この様な取り組みは新聞などマスメディアでも取り上げられており、今後この様な企業・自治体組織などが増加して行くことは喜ばしい事ではあります。

しかし、ここで無視できない幾つかの問題があることも確かです。例えば、育児・介護の必要がある正社員を対象とした在宅勤務制度を採用しているある企業では、現時点でのこの制度の対象従業員数は約500人で、その内300人程度を実施見込みとしていました。しかしながら、実際この制度を利用したいと申し出た人数は100人程度と、見込みを大幅に下回っているとのことです。その原因の大きなものは、この制度に対する不安(評価制度や昇進の機会喪失など)があるとのことです。同様な制度を採用している他の企業でも実施人数は伸び悩んでいるとのことです。

また、身障者を在宅勤務で採用している企業は、労働資源の開拓という目的で実施しているわけではない様です。どうやら背景には、身障者を既定の割合で雇用しなければならないという法的要求があるようです。確かに、テレワーク以外でこのノルマを達成するのは、ほぼ不可能です。例えば車椅子を必要とする人を採用する場合、通勤の手段、建物の構造(スロープ、出入りの容易さなど)からトイレ、エレベーターのボタンの位置、オフィスのレイアウト等々、かなりの投資を必要とします。それに比べれば在宅での採用は企業にとっても大変ありがたい制度となるはずです。ですが、ここで問題なのは身障者だけを対象としている制度であるということです。つまり、この制度を利用して何人まで採用しようというシーリング(フロア―ではなく)を作られてしまうということと、この制度用の仕事を限定されてしまう恐れがあるということです。

追記:最近ある人から、このコーナーでの私の説明の仕方がくどい、まるで子供を相手に説明しているようだと言われました。それはその通りです。意識してそう書いているのですから。ヒアリングや講演、その他の経験から、こちらの(テレワークに関する)常識と(一部の)他の方々とのそれに大きな隔たりがあることを実感しました。それが、この談話室を始める動機となったのです。噛んで含ませるような文章になりがちなのは、この常識のギャップを埋めようと言う意図からです。