私は1980年1月から1996年6月まで海外に住んでいました。米国ではアトランタ郊外に自宅を持っていたこともあります。外国から日本を見て、また、帰国して不思議でたまらない事の一つに日本の物価の高さがあります。日本人の旅行者は外国で「安い、安い」を連発しますが、地元に住んでいる人からすれば普通の物価であり、場合によっては高いと感じている状況かもしれないのです。その逆に、海外からの日本への訪問者の多くが日本の物価を「高い」と感じているという話は皆さんも良くご存知でしょう。従って、他の先進国の感覚からすると日本の物価はまだまだ高いのです。

現在日本で起きている価格の低下はデフレとは違うのではないかということを以前このコーナーでも書きました。少なくとも授業で習ったデフレとは「お金の需要に対して供給量が少なく、そのためにお金の価値が上がり、それが物の価格を下げる。価格が下がっても(お金の価値は高いから)物への需要は変わらない。従って、あらゆる産業で収益が落ち込み、それが経済全体を冷え込ませる。」というシナリオであったはず。ところが今回の価格低下の主役たちは、いずれも企業努力でコストダウンを行い価格を下げて需要を呼び起こそうとしているようです。お金の価値はというと特別上昇しているとは思えません。問題は供給量ではなく、先の見えない不況状態を不安に思って大衆が消費を控えていることにあるのではないでしょうか。先々月発表された世界の主要都市の物価指数でも、日本はなんと不名誉なことに東京、大阪、神戸が同率で一位となっています。米国ニューヨークの1.4倍とのことです。従って、今必要なことはデフレ対策ではなく、いかにして日本社会全体の効率を上げ、物価を下げつつ経済を活性化させるかということではないでしょうか。これにはテレワークが有効な手段として期待されます。もちろん週一回以下しか行わないパートタイムテレワークや特定の条件の人のみに適用される形態のものは有効な手段には含まれないでしょう。如何に多くの人たちが恒常的に当たり前のこととしてテレワークを行えるようになるかがキーポイントになるのです。