明けましておめでとうございます。色々あった21世紀最初の年も明けましたが、今年も年明け早々あまり先行きの明るい話しは聞こえてきません。相変わらず世界で一番物価の高い日本で物価が下がっている事を「デフレ」の一言で片付けて「大変だ、何とかしなくては!」と騒いでいます。ひどいのは現在の不況・リストラ・ベア0・ボーナスカット全てをデフレのせいにする人まで出ています。

また、オランダで成功したという「ワークシェアリング」なるものを日本にも導入しようという動きが本格化し始めています。導入賛成派の人達はオランダで成功したんだから日本でも成功する。なぜならオランダと日本はとても似たところがあるからと言っています。でも、ちょっと待ってください。確かに同じ人間ですから似たところも多くあるでしょう。しかし、ここは日本ですし、我々は日本人です。オランダとは文化、生活、物価、価値観、法律、商習慣、組織のあり方など違う点も多いのです。実は、この違いの方がワークシェアリングを導入する際に重要なポイントとなるのです。例えば、日本で人員削減をリストラと呼んでいる場合が多くありますが、人を減らすだけで仕事のやり方を変えていないケースがほとんどです。その様な場合、同じ量の仕事を少ない人員でこなす事になり、残ったワーカーは給与が上がらないだけではなく、仕事はより忙しくなるという状況に陥ります。つまり、100の仕事を100人でやっていたものを20人削減すると、同じ量の仕事を80人でやることになり、一人当たり1/4仕事量が増える事になります。これを人員削減を行う代わりにワークシェアをしようということですが、これはどういうことになるのでしょう?100の仕事を100人でやるのですが、今度は同じ仕事量を80%の賃金でやる事になるわけです。つまり実質的な賃下げです。

本来のワークシェアを行うためには、まず仕事のやり方を変えて(つまりリストラで)仕事量を80にする必要があります。ここで20人の削減を行う代わりに全員の仕事時間を20%カットするわけです。この方法だと賃金も20%カットになりますが、労働時間も20%減ることになります。この時間の使い方を各人で工夫して有効に使えばオランダのようなケースに近づけるのかもしれません。しかし、ここでも日本であることが問題になります。世界一高い物価(特に40代の社員にとっては住宅ローンや子供の教育費など)とパートタイマーと正社員の賃金格差等がその典型的なものです。生活費・住宅ローン・教育費に追われている40代社員が20%賃金カットされた場合、20%の浮いた時間をボランティアや地域活動への参加に向けることは難しいでしょう。では、カットされた賃金分をパートタイムで補おうとするとどうなるでしょう。オランダではパートと正社員の賃金格差はほとんどないとのことですが、日本ではまだ3~4倍の差があります。従って、20%全てをパートで働いても5~7%程度しか補えないのが現状でしょう。この様な中、物価の低下はワーカーにとって心強い味方になるのですが、日本ではこれも止めようとしています。無策な経営者(為政者を含む)、世界一高い物価、賃金格差のコンビネーションが存在する日本でのワークシェアリングはワーカーを痛めつけるだけの道具と成り果ててしまう恐れがあるのです。ワークシェアリングは組織と社会の改革が先にあって初めて成立するものです。百歩譲ったとしてもこれらの改革とワークシェアリングを同時に行う必要があるでしょう。

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