E-コマースの分類の一つに売り手と買い手の種類によるものがあります。皆さんご存知のB(Business)とC(Consumer)によるもので、一般的にはB2B、B2C、C2C、C2Bなどがあります。私はこの分類には最初から違和感を感じていましたが、今一つ何が原因なのかつかめずにいました。しかし、テレワークの導入に際してアクターとその役割を考えていく中でその理由が分かりました。つまり、E-コマースにおけるアクターはBとCという単純な2分類ではないということです。売り手が生産・製造者という売買の対象そのものを作り出している場合と他者が作ったものを売るビジネスの場合では、当然色々な条件が異なるはずです。前者をP(Producer)、後者をD(Dealer)と呼ぶことにしましょう(今までは両者ともBです)。継続のビジネスとしてではなく、持ち主が売る場合はO(Owner)と呼ぶことにします(今まではCです)。買い手については、再販目的でも消費目的でも買い手が会社組織であればBと呼んでいるのが現状のようですが、一般消費者が再販目的や消費目的で購入する場合との違いが良く分かりません。税・商法上の理由なのか、一回の取引量の違いなのか、それともある会員組織に属していることが理由なのか、いずれにしても良く分かりません。これについては、買い手の分類の意味そのものについて考えてみる必要がありそうです。

もう一つE-コマースにおける重要なアクターがいます。それが代理人(A:Agent)です。Aはさらに三種類に分けることが可能です。売り手の利益を代表する者(As)、買い手の利益を代表する者(Ab)、両方の仲介役を果たす者(Ai)です。したがって、Aは売り手にも買い手にも、そして仲介者にもなる存在です。しかし、A自身は売買対象のモノの所有者になることはないわけですからP,D,OともB,Cとも違う存在として振舞うことになります。この様にアクターの役割を考えてB2BやB2Cなどを見直してみると全く違ったE-コマースの成功条件が見えてくるのではないでしょうか。また、この概念は物ではなくサービスなどの提供者(Provider)にも同様に使えるものと考えられます。アクターによる細分化は不可欠だと思われるのですが、どこまで細分化するか、買い手の細分化の意義は何かなど問題は多々あります。

最後に、今までのE-コマースの研究はこれらの問題を無視して来たように思われるのですが、既にこの様な概念で研究発表がされているのをご存知の方がいらっしゃれば、是非ご一報ください。この談話室で紹介したいと思います。いずれにしても、アクターベースのE-コマース研究はあらゆる研究者(学生含む)にとって宝の山になりそうです。