以前、E-コマースの成功要因は信用・価値の確立でないかという話をしましたが、それらの確立方法とそれら要因が「成功」へどうつながっているのかを考えるために次のようなモデルを作ってみました。まず、信用と価値の確立は次の3段階を経て行なわれると考えます。

 

信用確立の段階
信用確立I期
(transitory trust)
外部的な要因を利用した一時的な信用を作る。
これはビジネスそのものの信用ではないため外部要因の効果が消えるとこの信用も消滅する。
最初の客寄せ効果として利用するもの。
信用確立II期
(building trust)
ビジネスそのものの信用を構築する段階。
持続性と固定客拡大を目指す。
信用確立III期
(establishing trust)
ビジネスのブランド化を目指す段階。
会社名やサイト名が他のE-コマースの信用確立Iの外部入力となれる。

 

価値確立の段階
価値確立I期
(recognition)
提供するモノ・サービスの価値を知ってもらう(認めさせる)段階。
提供するモノ・サービスのユニークさ、安さ、量、配達期限厳守などでの差別化がキーポイントとなる。
価値確立II期
(anticipation)
顧客から認められた価値を同じ質で提供し続けることで、顧客から期待されそれを裏切らないようにする段階。
安定した提供と同等に重要となるのがトラブル処理である。
如何に速やかに顧客の価値回復を行なうか、或いは、顧客の損失を防げるかがキーポイントとなる。
これは信用確立IIへの内部入力ともなる。
価値確立III期
(creation&addition)
新たな価値創出や付加価値の創出を続ける段階。
全てのE-コマースに必要な段階ではないが、比較的競争が激しいビジネス分野では重要なポイントとなる。
また、同じ顧客による再購入までの期間が長いモノ・サービスを提供しているビジネスでは不可欠となる。

これらの各段階において入力となるものには、外部入力(会社外からの確立推進要素)と内部入力(それぞれの前段階からの入力やお互いの相乗効果)があるとします。

通常は、信用も価値もI→II→IIIの順で進んで行き、それぞれの段階において何らかの外部入力の助けを必要としたり、お互いを入力としあう相乗効果を利用しながら確立に向けて進展して行くものと考えらます。しかし、全てのE-コマースにおいて全段階が必要なわけではなく、また、I期から始まる必要もないでしょう。さらに、扱う商品の性質や店舗のタイプ、有名パトロンの有無等によって、どちらから始めるか、どのように始めるかなどの戦略・戦術上での違いも影響するものと思われます。

例えば、クリック&モルタルのE-コマースの場合、実店舗の信用度が大きな外部入力となります。既に全国的な知名度を持つ会社がE-コマースサイトを開く場合は信用確立のI期は比較的容易に達成できるでしょうし、それを価値確立のI期への内部入力として利用することもできるでしょう。また、あまり知られていない会社名であっても地元での信用があれば、それを利用して信用確立のI期を達成することは可能だと考えられます。
それでは、完全バーチャルの場合はどうでしょうか。実店舗の信用を外部入力として利用することはできませんが、有名な企業等がパトロンになっている場合は、その信用を利用することは可能でしょう。有名なパトロンがいない場合は?資金があれば広告宣伝にかけるのも手でしょう。ビジネスそのものに何か新しい特徴があればマスコミで紹介してもらうこともできるでしょう。これらは全て信用確立I期の外部入力の一端です。
それでは、信用確立I期の外部入力が無い場合や上手く行かない場合はどうでしょうか。当然、価値確立I期から攻めることになります。取り扱う商品の価値が既に知られている場合で希少価値やサイトとしての差別化が出来ている場合は、このI期の達成は比較的容易なはずです。しかし、そうではない場合、サンプルを配布したり、業界の大きな展示会に出品参加したり、或いは地道な営業活動で時間をかけてI期を達成するという方法になるかもしれません。どちらも出来ない場合はE-コマースとしての成功はないということになります。

次回以降に、このモデルを使って幾つかの成功事例と失敗事例の検証を試みようと考えていますのでお楽しみに(次話というわけではありません。すでに次の3話分のドラフトは出来ているので、事例の話はその後になる予定です。)