昨年からのE-コマースに関するヒアリング調査で達人と呼ぶに相応しい人達に出会いましたのでご紹介いたします。

まず「何を持ってE-コマースの達人とするか」ということですが、今のところ私自身にもはっきりした定義はありません。(いきなり何を言っているんでしょうか、この人は!;-)ほとんど私のフィーリングのようなものですが、あえて理屈をつけるとしたら「E-コマースとリアル・コマースの違いが分かっている」そして「自分の顧客が誰か分かっている」さらに「対象とするマーケットで一番になる術を知っている(これは私の想像です)」と私がヒアリングしていて感じた人達のことです。簡単に言うと、機会があればこの人達のやっていることに是非投資してみたいと思った人達です。
一人は、そのマーケットで既に一人勝ち状態に入っており、他の追随を簡単には許さないほどの差別化に成功しています。
もう一人は、E-コマースをリアルの補完と位置付けてサイト運営を行なっていますが、ニッチをしっかり捉えて利益を出し、売上も順調に伸ばしています。しかし、この後者のすごいところは、自社のE-コマースを実験場と考え、そこから学んだことをE-コマースのためのソフト開発と経営コンサルのノウハウとして蓄積し、それを利用した事業を立ち上げ成功していることです。

前者はAiタイプ(Ai2B)で後者はPタイプ(P2C)ですが、共通している事が三つあります。

一つ目は、両者とも既存のE-コマース成功要因について知らずにE-コマースを始めたということ。既存の成功要因についての意見を求めると、両者とも「それらは重要ではあるが根本的な成功要因とは違うと思う」ということでした。
二つ目は自分達の顧客とマーケットを良く知っていて、顧客の方を向いた商売を行なっているという点です。つまり、「自分達の都合で売る」ことに専念するのではなく「顧客に価値を認めてもらう」ことに努力しているということです。(「顧客の方を向く」には、もっと色々ありますが、頁の制約上割愛します)
そして三つ目は、E-コマースの弱点を利点に変えることを知っているということです。
前者の達人は「商品にさわれない」という弱点を利点に変えています。この達人は余り在庫の売買を仲介するB2Bサイトを運営していますが、余り在庫を抱えている売り手にとって利益の薄い商品のサンプルを顧客からの要求に合わせていちいち色やサイズの違うものを探して持ってくる、または、送るという手間は大変なコストとなります。しかし、E-コマースではこのコストが掛からないことを参加のメリットの一つとして売り込んでいるのです。そして、もちろん検品をAi側が行うことで買い手側への品質保証をしています(つまり、粗悪在庫品を売りつける売り手をサイトから除外するというサービスを買い手側に提供しているわけです)。
そして後者の達人は「顔が見えない」という弱点を利点に変えています。この達人はオリジナル高級Tシャツ(平均価格5千円)をP2Cで売っているのですが、顧客からの苦情をアナログで迅速に処理し、その苦情内容とどう対処したかをサイトのBBSで公開しています。ここまでは多くの優良サイトが行っていることですが、「達人」たる所以はその処理の仕方と心掛けにあります。つまり、E-コマースのBBSは非常に多くのポテンシャル・カスタマーが読むということを意識して苦情処理に当たるということです。この顔が見えない、声も発しない多くのポテンシャル・カスタマーをサイトの顧客にする最大のチャンスと考えているわけです。苦情処理をアナログで行うのは人間味を加味するのが狙いの一つです。

以上が私が見つけた達人たちです。如何だったでしょうか。納得していただけましたか?