今週は日本にとって誇らしいニュースが二日連続で届きました。暗いニュースばかりの昨今に二人同時のノーベル賞受賞の快挙は実に気分の良いものです。しかし、この受賞に関連して日本はやはり何も変わっていないし、変わるのは難しいのだろうと思わせることも二つありました。

一つは、二人の受賞者が首相と懇談した際にした同じ内容のお願いに関係します。それは、日本人は同じ日本人の業績を正しく評価しようとしないということです。そして二つ目は、二人目の受賞者田中氏の記者会見での発言に反応したテレビのコメンテーター達の発言です。記者からの「ノベール賞の対象となった発明に対して会社が払った報酬は、特許申請(取得?)への1万1千円だけでしたが」との問いに田中氏は「好きな研究をさせてもらって会社の役にも立っているので満足です」と答えたのは皆さんご存知の通りです。これに対して複数のテレビ局のコメンテーター達が「最近自分の発明への報酬をめぐって会社に対して多額の損害賠償訴訟を起こした人がいますが、それに比べ田中さんは実に奥ゆかしく日本人の美徳を持った人だ」と一斉に賛辞を送りました。

この二つが意味するものは?日本人の「価値」への無視と「横並び」意識、つまり、正しいことをやるよりも正しくやることの方が重要だということ、そして出る杭は皆で打つという態度です。田中氏のコメントはさておき、中村氏が起こしている損害賠償は世界の常識と見るべきです。日本と日本の企業が個人の業績と価値を正しく評価しない限り頭脳流出を止めることは出来ないでしょうし、日本が変わることも無いのかもしれません。

さて一方純粋に楽しくなるニュースもありました。それは私が個人的に注目している例の玩具屋さんが裏のノーベル賞を受賞したというものです。この賞は世界の珍発明等を対象に送られるもので審査員はハーバード大の教授などで審査過程もいたって真面目なものだそうですが、私が嬉しいのは、この会社は変わった面白いことをやると思っていたところにこの受賞がその裏打ちをしたからです。ちなみに受賞対象は「バウリンガル」と呼ばれる犬の鳴き声を200種類の人間の言葉に翻訳するという玩具です。(売れている商品だそうです)この様な会社が多く出てビジネス的に大成功することが変化への起爆剤になるのではないでしょうか。

最後に余談ですが、最近お役所も日本のゲーム・アニメ産業の育成に力を入れ始めたと新聞に載っていました(業界関係者からも同じ話を聞きましたので本当のことでしょう)。実は、私は12年前からこの業界は日本の大事な産業の一つになるから大切に育てないといけないと言っていたのですが(ちょっと自慢;-)やっとお上にもそれに気づいた人達が出てきたようで嬉しいニュースです。講演会の後の懇親会などで「ポスト工業社会で外貨を稼ぐ新しい産業は何でしょう」とよく聞かれるのですが、私はいつも「ゲーム・アニメ産業」をその一つに挙げていました。それに対する相手の反応は大抵冷ややかなものでしたが、この記事で少し溜飲が下がる思いでした。