ある缶コーヒーのコマーシャルでお年寄り(森繁)が長い歩道橋の上り階段を見上げて弱り果てた表情をしていると見知らぬ男性(松本)がそのお年寄りをおぶって階段を上って行きます。と、ここまでは良いのですが、コマーシャルはここで終わってしまいます。

一見やさしさを題材にした作りのように見えますが、健常者サイドからの一方通行の作りです。足腰の弱っている年寄りと急な上り階段、それをおぶって上る若者(中年?青年?)。確かに分かりやすい構図ですし15秒ではここまでが限界なのかもしれませんが、足腰に問題のある人にとって本当に厄介なのは上りではなく下りだと言うことです。(上りがきついのは心臓に問題のある人でしょう)ですから、このコマーシャルも出来れば下るシーンまで入れて欲しかったものです。

実は、このコマーシャルに関連してもう一つ健常者サイドの思い込みのものがあります。それは駅のホームに一基しかエスカレーターがない場合、決まって上りに設定されていることです。下りは楽だからやっぱり上りだろうと思っている方、自分が足を怪我して松葉杖を使っている姿を想像してみてください。その状態で長い階段を上るのと下るのとどっちが危ないと思いますか?階段を踏み外して転げ落ちる事故は上りで起こると思いますか?日本は全てにおいて相手の立場で考えていない設計や設定がされているように思います。考えてみると行政サイドのやること(やらないこと)もそうですよね。

最後に最近気に入っているコマーシャルについて一言。12MのADSLについて説明するのに坂道を一生懸命上っている自転車競技者の一群の横を肥満体の人がこぐ自転車がスイスイと抜いて行くというものです。バックボーンの回線が太いので重いデータでも他社よりも速くダウンロード出来るということですが、「バックボーンの回線」のことが分からない人でもビジュアル的に分かりやすく印象に残る良い作品だと思います(私個人の好みでは)。以前にもスペースシャトルの画像情報のダウンロード時間を比較して見せるものがありましたが、印象的には今回のものの方が数段優れているように思います。少なくとも今回の方がプロの仕事という気がしているのは私だけでしょうか。