今月9日にテレワーク協会にてK省との「テレワークの企業戦略としての利用について」の意見交換会があり出席してきましたが、その際に出た質問などへの私の意見・感想をご紹介します。

1.企業のテレワーク化について

*ハードや情報インフラ主導での普及促進は考えにくい。
例:4、5年前までは通信速度やコストがネックと言われていたが、それらが問題ではなくなった現在でも企業のテレワーク普及はそれほど進んでいない。一方、日本I×○社のテレワークへの取り組みは通信速度がPHSの32Kで定額料金制度になる前に本格導入に入っていた。

*普及阻害の最大の要因はManagement Inertiaと変化への恐れだと思われる。
しかしながら、これらの要因を手当てすることが普及への正攻法では(多分)ない。一番の方法は飴と鞭(おいしい餌と強制・脅し)を同時に使うことではないか。

*モバイルワークは特別なテレワークではない。
5年前までは、直行直帰を中心としたモバイルワークは営業職といえど無理だという意見が主流だったことを忘れてはいけない。日本I×○社の本格導入以来、多くの企業が真似をし、その結果、外勤のモバイルワークは当たり前になってしまった。ところが、同じ企業の中でも外勤と内勤はカルチャーの違いから、外勤のモバイルワークは出来ても、内勤のテレワーク化は別物という意見が主流になっている。モバイルワークの経験から内勤のテレワーク化に役立つノウハウは多くあるはずなのだが。

*テレワークの進行度は次の三つである程度判定できそう。

第一段階: 紙の消費削減(削減率最低30%、理想は80%以上)
第二段階: デスクスペース削減(テレワーカ数の最低25%、理想は70%以上)
第三段階: アウトソースの質・量(全対比の最低10%+外部人材DBの整備、理想は70%以上)

今、日本でテレワークしていると言っている企業の5割は第一段階をクリアしていないと思われる、また、残りの内3割は第二段階で消えると思われる。更に、第三段階までクリアしているところは大企業では多分皆無。これはモバイルワークを実施している企業を含む。

2.地域活性化とテレワークについて

*SOHO予備軍の教育をいくらやっても地域活性化にはつながらない。
発注側(地元企業や自治体)の教育と積極的な参加がポイント。更に、SOHO支援は内職型ではなくプロ系SOHOをターゲットとすべし。

*デジタルデバイドの問題はリテラシー教育よりもブロードバンド・定額料金制へのアクセスがない地域があることの方が問題。
*地域活性の意味は地域によって異なるはず。中央からの金と仕事の獲得だけが活性化ではない。
持続可能な地域活性を考えるべき。例えば、自治体サービスの質・量を減らさずに、予算を25%以上削減するにはテレワークを利用したNPO・SOHO等へのアウトソースが考えられる。長期的には、これが自立したSOHOを育てることにもなるはず。更に、テレワークを利用した地域住民の参加・意識向上を行い、皆が生き生きとした地域を作れれば、これに勝る持続可能な活性化はないのでは?

3.日本再生とテレワークについて

*e-Japanはテレワークによってのみ達成できると考えるべき。
少子化による労働資源不足には、通勤困難者による質の高い労働参加が最善の方策と考えられるが、それにはテレワークが最適。高齢化による年金・福祉の問題は、テレワークによる60歳以上の労働参加により(つまり年金・福祉費減と税収増)解決可能では?企業もコストを削減しつつ生産性と人材資源効率を向上させるのにはテレワークによる改革が必要。無理にテレワークを導入しようとしなくても、上述のことを達成しようとすれば必然的にテレワークを導入することになる。

余談:
大企業に対して、通勤者一人につき環境負荷税を課すことにより、テレワーク化へのインセンティブになるかも。また、大都市圏に入ってくる通勤車両に入市料金を取る(サンフランシスコのように)こともテレワーク促進になるかもしれない。どちらも鞭の案ですが。ちなみに、飴の案としては、企業は管理職への昇進にテレマネージメント能力(つまり部下と離れていても仕事の管理が出来る能力)を絶対条件とすることや、行政側は、自宅にオフィスを設定して、実際に在宅勤務をフルで実施している人に対しては減税するなどが考えられる。