永らくお待たせしました。約一ヶ月ぶりの更新です。しかし、この談話の日付は5月6日になっています。過去にも何回かありましたが、これには理由があります(私が更新をサボっている他に)。日付は原則として私が話しのアウトラインやドラフトを書いた日になっています。話の内容によっては、その頃にあったイベントや新聞記事に関連したものもあるので、時間的に齟齬をきたさない様にという理由からです。

それでは80年代のバブル前までのテレワークの動きについて紹介します。

第一次オイルショックの後にテレワークが注目を浴びるのは80年代に入ってからになります。このころになると工業先進諸国では、高度成長のツケである大気汚染や酸性雨などの環境問題が社会問題として取り上げられ始めました。また、第二次オイルショックなどもあり、その度にテレワークが解決策として取り上げられましたが、いずれもテレワークの実験程度に留まり、本格導入に至るケースは殆どありませんでした。一方テレワークに必要なITに目を転じてみると、80年代初頭にはPCが市場に出て来ますが、値段は高く、処理能力も低い上にアプリケーションソフトも少ないという状態でした。米国においてもPCが一人一台体制になるのは10年後の話です。更に、この頃のPCはまだスタンドアローンで使用されることが殆どで、LANを含めたネットワーク化が進むのは80年代中期以降です。また、インターネットもなく、一部の大学や研究所を繋ぐBITNETと呼ばれるものがあっただけでした。

これらのことから、この時期にテレワークの本格導入に至らなかった理由は次の二つが考えられます。

一つは、テレワークに対するニーズの一過性(オイルショック)や地域限定性(都市部や工業地域の大気汚染など)にあったと思われます。テレワークの本格導入には大きな改革が必要であり、トップレベルでのコミットメントが不可欠となります。テレワークに対するニーズの持続性や緊急度・重要性が今一つ低かったように思われます。

更に二つ目として、IT(ハード・ソフトの両面)とネットワーク環境などの不備・未成熟さなどがあります。仮にこの時期に本格導入にトライした企業があったとしても、テレワークの恩恵を享受するどころか不便さばかりで、導入は頓挫していたことでしょう。

ところで、この頃のテレワークと言えば在宅勤務かサテライトオフィス・テレワークセンターなどでの勤務形態を指していました。モバイルワークが出て来るのは、(本物の)携帯電話とラップトップ・コンピュータ(今はノートPCと呼ばれていますが)が普及し始めてからです。当時の携帯電話と言えば大きくて重いバッテリーを肩からかけて使うもので、ポータブルコンピュータと呼ばれていたものも重さ10Kg以上もあり、両方を持ち歩くモバイルワークなんて罰ゲーム以外には考えられない状況でした。

次回は、このころの日本でのテレワークの動きを紹介します。