近頃、今の日本における父親のポジションを象徴するようなコマーシャルが幾つかあります。例えば、ある種の水虫の治療についてのコマーシャルでは、その水虫に感染している夫に、妻が治療を勧めるのですが、その妻が何と娘に化けています。その理由が「私の言うことだと聞いてくれないから」と言うもので、夫婦間の問題も象徴しています。ところで、娘に完璧に化けているにも関わらず、夫は、それをあっさり見破ってしまいます。見破る理由の一つが、父親(夫)の健康を気遣う娘(妻)に対して「娘は、そんなに(父に対して)優しくない」と言うものです。実は、このセリフは、最近のこのコマーシャルでは削除されています。私と同じように感じた視聴者からのクレームがあったのかもしれません(私ではありません...念のため)。ちなみに、このコマーシャルは何度も見ていますが、スポンサーがどこなのか覚えていません。結局、コマーシャルとしては失敗しているのでは?

もう一つ、父親の威厳の失墜を象徴するコマーシャルがあります。それは、ある消臭スプレーのコマーシャルです。このコマーシャルは(我々男性陣にとっては)最悪で、家族全員から軽んじられている父親像が描かれています。このコマーシャルは、幾つかのエピソード形式で制作していますが、最近のエピソードでは全て父親を軽んじるというテーマで作られているようです。例えば、あるエピソードでは、帰宅した夫が、残った臭いから「今夜はスキ焼きかぁ」と言います。すると妻は「みんな食べちゃって、残ってないわよ」と素っ気無い返事をします。仕方なく、夫はお茶漬け(か何か簡単なもの)を食べる、というものです。私には笑えませんが、多分、一般的に受けていると言うことなんでしょう。勘違いしていただきたくないのですが、私の家庭がそうだと言うことではありません。家族一緒の夕食は、週二、三回ありますが(これは、恐らく平均よりも多い方でしょう)、一緒でない夕食も、もちろん、ちゃんと用意されています(ただし、一人寂しく食べていますけど)。

こんなことを書いていると、「考え方が古い」とか「ユーモアを解さない」とか言われそうですが、ここ十数年の間に失墜してしまった父親の威厳が、十代の子達や学校が荒れて来ている原因の一つのような気がします。父親は、やはり、家族の中では、「怖くて、頼れる」存在であるべきだと思います。それが今では、「無視できる、金づる」と化してしまっているようです。仕事の忙しさを理由に、家庭のことを妻任せにし、コミュニケーションを取る努力を怠った夫側と、夫をないがしろにし、子供達にも「勉強しないと、お父さんみたいになっちゃうよ」と平気で言ってしまう妻側の両方に非があるのでしょう。また、「自分は子供を怒れるような(りっぱな)人間ではない」とか、「子供とは友達のように付き合いたい」と言う親達にも問題があります。本当に子供のことを思うなら(自分が子供の頃どうだったかは関係なく)、怒るべきときには、「怒ってあげる」べきです。子供との接し方にしても、本当に友達付き合いが出来ているのなら、それでも構わないのですが、私を含め、殆どの親にはそんな技量はないでしょう。中途半端な子供への友達アプローチは、親と子の関係をおかしくするだけのような気がします。

ところで、今回の談話は、一体誰に向けて書いているのでしょうか?自分でも途中から「おや?」と思いつつ書き進めてしまいました。まぁ、大半の読者は親でしょうし、独身の方々も、いずれは親になるのでしょうから、共通の話題ということでご理解ください。