今回は、ちょっと抽象的な話になります。ある有名な伝統のある組織があり、そこは今大改革の必要性に迫られています。正確に言うと、その組織のパトロンが改革を命令して来て、その実施時期も決められてしまったのです。改革後の組織運営については、誰も経験がなく、組織内では大騒ぎしながら準備を進めていますが、結局、出来るだけ実質的に現状を維持できるような形での改革準備になっています。それが当たり前と言えば、当たり前の事なのでしょうが。しかし、そんな誤魔化しが効くとは、とても思えません。今回の改革は、その組織が属する業界の将来にも大きく関係しており、ここで本気の改革を行わない限り、今ブランド力のあるその組織と言えど10年と持たずにトップクラスから転落してしまうことになるからです。既に、競争相手達は、その組織から優秀な人材をヘッドハントしようと虎視眈々と狙っています(実際にハントも起きているようです)。

ところが、その組織の多くの人達は、今回の改革の意味を理解せず、必要性も感じていません。また、改革後も、今と変わらずやって行ける筈だと思っているようです。

もちろん、そんな組織の中にも先見性のある人達もいます。そのような人達の一部が、今回の様な大改革を見越して、新しい試みへのチャレンジを申し出て、パトロンから予算付き期限でトライすることを許可されました。そのグループは、「我々が組織に新しい形を示そう」と意気込んでいました。しかし、如何せん小規模の若手によるグループです。組織のトップは、そのグループの後見人役として、ある既存の部門を充てました。(この後、若手グループをA、後見人役部門をBと呼びます)。更に、Aの長は、原則としてBの管理職者が兼務することになりました。しかし、Aは、Bとは人事権・予算権とも独立しており、活動も自由にできることが保証されています。Aは、Bに対して一切の義務を負っていません。しかし、Bは、Aの長を出していることもあり、Aに対して責任を感じていると共に、自分達の資源にしたいという思いもあるようです。しかし、Aは、Bの一員になる気はまったくありません。Bは、完全な従来型組織維持派なのです。Aの目指しているものは、そこからの脱却であり、目的もまるで違います。Bから見ると、Aのやっていることは我が儘であり、組織の和を乱しており、組織の一員としての責任も果たしていないと映っているようです。でも、Aは、予算と期限を付けて貰った目的を果たそうと一所懸命に活動しているだけで、期限内にそれが達成出来なかった場合は、潔く責任を取ろうと決めているのです。でも、Bにはその目的でさえ理解できません。なぜなら、Bにとっての表向きの「目的」とは、あくまでも対外的な文書に載せるだけのものであり、実際にその目的を果たすことを目指してはいないからです。Bの本当の目的は、今の状態で存続し続けることなのです。(もちろん、Bの中の小グループや人員毎には個別の目的がありますが、それは、Bの表向きの目的とは、ほとんど無関係なものばかりです)

長くなりましたので、2話に分けることにしました。ここで話している「組織」は、民間企業にも、行政組織に当てはまるものだと思って書いています。