先日、人口一万人ほどのある地方の町に講演に行ってきました。講演内容は、昨年暮れに高知県庁職員向けの勉強会で行なったものと同じもので、自治体の財政事情と3~4年後の姿(財政破綻の可能性)を認識して貰った上で、内循環型モデルによる自治体組織を含んだ地域改革の必要性を説くと言ったものです。この講演は町長からの依頼でしたが、講演には町役場の職員、町議会議員、町民や近隣の自治体関係者など多くの出席者があり、活気のある意見交換もあって大変盛り上がりました。講演を聴いた町役場の職員の間では改革に対しての意識が非常に高まっているという話を後日聞かされ、風邪をおして出かけて行った甲斐があったと思っています(もっとも、その講演から帰ってきた後に2日ほど寝込んでしまいましたが)。

その町は、テレワークによる活性化のモデルケースと成り得るような典型的な田舎町です。ここで「典型的な田舎町」と呼んでいるのは差別的な意味ではなく次のような条件からです。

  1. 大規模雇用の企業や産業がない
  2. 過疎化現象が見られる
  3. 通学範囲内に大学がない
  4. 近くに空港がない
  5. 都市部とは国道一本だけで繋がっている(その道が不通になれば陸の孤島と化す)
  6. ADSLサービスが受けられない(町役場を中心に半径1.5kmだけはADSLがあるそうです)
  7. 豊かな自然(山と海)がある

以上のような条件に当てはまる町や村は日本中に多数存在する事でしょう。

つまり、この町でテレワークによる改革が成功すれば、日本中の市町村で成功する可能性があることになります。実は、この様なケ―スは、テレワークの活用がピッタリくるケースだと思っています。理由は簡単で、テレワーク導入のメリットがはっきりし易いことです。

例えば、この地域の市町村では、以前から空港や高速道路の建設、大学の設置などを国や県に要望して来たらしいのですが、そのような大規模なインフラ整備は、今の時代に叶うことはないでしょう。また、仮に叶ったとしても何年先の話になるのか想像もつきません。さらに、それら施設やインフラの(需要に対しての)保守・運営費を考えると、まったく無謀な要求としか言えません。しかし、テレワークでこれらの大半を代替できるとしたらどうでしょうか。テレワークに必要なインフラ整備コストは、従来の物理的なインフラ整備コストの数百~数千分の一程度で済むものと思われます。大学にしても県内の大学に協力をお願いして仮想大学による(学位獲得可能な)受講ができるようにすれば莫大な資金や困難な人材集めをせずに地域住民への大学教育の提供が可能になります。

高知県庁の場合と違い、この町の場合はstakeholdersと呼ばれるkey-persons(首長、自治体職員、議会、住民)の意識改革がかなり進んでいるという印象を受けました。また、1万人という町の規模も、このような大改革を行なう上では有利な条件となります。

ただ、最大の問題が通信インフラの整備です。本格的な改革を達成するためには、地域内どこでもADSLアクセスを可能にする必要があります。しかし、このインフラ整備を待たずに改革を推進する事は可能です。折角stakeholdersの間で改革への熱が高まっているのに、インフラ整備待ちで熱が冷めてしまう危険を冒す理由はどこにもありません。Email、電話、Fax、宅配便を利用して出来るテレワークも少なからずあります。まずは実践する事が成功への近道と言えます。

この町の状況についても、この談話室で随時紹介していく予定ですのでお楽しみに!(企業の先進事例がなくて寂しい限りですが、今年は地方が熱くなりそうで楽しみです!)